深夜の漫画喫茶では、リアルな貧困を感じられました

深夜0時。私は突然とある衝動に襲われました。

 

「漫画が読みたい」と。

 

普段はそこまで強く何かをしたいと思うことは無いのですが、なぜかその時はその欲望にあらがえず、すぐに自転車を引っ張り出し、夜の漫画喫茶へとペダルを踏んでいったのです。

 

私が向かった漫画喫茶のお値段は“4時間パック1000円で、完全個室”という安くもなく高すぎもせずといったタイプの普通の漫画喫茶。とはいえ、私にとっては初めての完全個室の漫画喫茶です。

 

店員にシステムを案内され、入れられたのはペアシートの個室。ソロなのにペアシートとは贅沢と考えるべきか、嫌がらせと考えるべきかは分かりませんが、広く使えるのは確かです。有り難くその恩恵を受けようと、漫画を手に取りフリードリンクを手に取り、完璧なワンルームに仕立て上げました。

 

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さてさて漫画でも読もうかと、じっくりと腰を落ち着けたところ、隣でバタンという音。どうやら隣のボックスに隣人が入ってきたようです。それにしても、深夜にもかかわらず、どたどたと騒がしい。時にはパソコンを見ながら笑い声まで聞こえてきます。

 

完全個室とはいえ、間を仕切っているのはベニヤ板のように薄いパーティションのみ。しかも頭の上は完全に間仕切り無しの状態です。個室とは名ばかりで、なかなか漫画を読むのに集中できません。

 

そんな中でも、今まで読み貯めていた漫画をとにかく消化しようとパラパラとページをめくっていると、今度は反対側から大きな異音が。

 

ゴゴゴゴゴゴという滝の音のようなとてつもない音です。それはいびきでした。隣に寝ているのは人間ではなくオークではないかと思わせるようなファンタジックな音。反対側の隣人の笑い声もピタリとやみました。

 

私じゃありませんからね。反対側のオークの仕業です。私はペンライトで漫画を読んでいるだけの一般市民ですからね。そんなことをアピールできるはずもなく、さすがに集中できなかったので、部屋を出てドリンクと漫画を取り換えに行きました。

 

ついでに店内を探検でもしようかと、地下1階から3階まで続く店内をうろうろ。すると、いたるところにこんな広告を見つけました。

 

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日雇いや単発のバイト、日々紹介の求人があちらこちらに置かれています。日払い・高収入・正社員契約etc……。それらの文字を見るたびに深夜の気分が更に深く沈んでいきます。

 

「そうだよな。ここは人によっては漫画喫茶ではなく、生活のためのホテルであり家なんだよな」と改めて実感しました。そもそもここは漫画を読む場所ではないのだと言われているかのようです。

 

特に、それを強く感じたのがとある階に入った時。それは、タバコと汗が強く入り混じった臭いのする階でした。私がいた階は、臭いに関してはほとんど気になりませんでしたが、その階は一瞬吐き気を催すような刺激を感じました。

 

結局、店内を歩き回っても気分が優れることはなく、オークのいびきと笑い声の響く私の部屋へと戻ってきました。そして、何気なくパソコンのモニターを入れてみれば、やはりそこには日雇い求人の広告の数々。しかも、こちらは女性向けが多いようです。

 

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個室の前に置かれた靴を見る限り、私と同じ階にも確かに女性物のスニーカーが何足かありました。それは、かなりくたびれたスニーカー。彼女たちは何を思ってここに宿泊しているのでしょうか。

 

結局、時間より少し早く部屋を出て会計に向かったところ、店員さんから「ポイントカードを作りますか?」との質問が。私は丁重にお断りさせていただきました。多分、私はポイントで何かを交換できるほどここに来る事はないでしょうから。

 

まるで、『今日から日雇い労働者になった』の世界を垣間見たかのよう。漫画を読みたい衝動はどこへやら。その時は部屋に帰ってベッドで深く眠りたい衝動が私を襲っていました。

 

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