昔ながらの漫画喫茶「コミックネット」さんで『銀の匙』を読んできました

最近の漫画喫茶は半個室タイプで、簡易宿泊施設のようなつくりをしているものも多いですが、昔ながらの漫画喫茶と言えばオープンスペースの喫茶店のなかにずらりと漫画が並んだタイプ。

 

名古屋市内ではそんな昔ながらの漫画喫茶を見かけることはかなり少なくなりましたが、わずかながら千種区にもそんな懐かしの漫画喫茶がひっそりと隠れています。

 

お店の名は「Comic Net(コミックネット)」さん。今池駅から徒歩3分程度の位置にあるビルの中で、ひっそりとお客さんを待ち続けている漫画喫茶です。

 

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まるで都会の中の隠れ家。漫画好きの私にとってはコンクリートジャングルの中に隠されたオアシスのような空間。6時間パックで990円という値段は名古屋市内でも最安値に近いのではないでしょうか? 

 

そんなオアシスに置かれたフリードリンクという名の甘い蜜を求めて、今日も平日の昼間だというのに近所のサラリーマンたちが集まり、マンガを読んでいます。というか、本当に大丈夫ですか? ガチの昼間ですよ? 昼の13:30ですよ?

 

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うん、いや、大丈夫なんでしょう。人様の会社の事情なんて分かりません。商談相手との面談までに時間が空いたから、少しの時間ぐらい漫画でも読んでリラックスしようと思ったのかもしれませんしね。

 

……ちなみに、この方は午後4時まで漫画を読んでらっしゃいました。

 

まあ、それほど落ち着ける空間のコミックネットさんだということです。ああ、漫画喫茶最高。

 

さて、お茶も濁せたところで今回読んだ漫画の話。今回は『銀の匙』という漫画を読みました。『鋼の錬金術師』などを書かれていた方の漫画ですね。

 

いやあ、この作品は初めて読んだのですが、メチャクチャ面白いですね。ついぶっ通しで読んでしまいました。10代のころの夢と現実の葛藤、命と食に対する疑問、食の楽しさなどをずっと描き続けている漫画で、実写化もした人気作品らしいです。

 

本作のなかに、借金で高校をやめてしまうキャラクターがいるのですが、個人的にはこのキャラクターに一番の感情移入をしてしまって、思わず漫喫でウルッときてしまいました。

 

実を言えば、私の実家は私が大学院を修了するまで借金まみれで、新たにカードも作れないブラックリストに入っていたお家でした。その額は確か3000万だったかな? 今の私が奨学金やその他もろもろで抱えている600万円弱の借金なんて屁でもない額です。

 

「大学院まで行かせてもらえるなんて、お父さんお母さんに感謝しなきゃね」とカウンセラー講座で他人に言われた時は本気で怒りをぶつけそうになりました。何も知らないくせに、と。

 

もちろん両親が他の親よりも理解があったのは確かですし、授業料を払ってもらっていたのは確かです。感謝も大いにしていますし、だからこそお金を稼いで楽をさせてやらなきゃという思いもあります。年内にまとまったお金を払って両親を旅行にでも連れて行ってやろうかとも計画中です。

 

でも、ここに至るまでは他人が口にするほど簡単な道のりではありませんでしたし、「国立大学に行って奨学金が取れないなら大学進学は諦めろ」と言われるような事情もありました。

 

昔を思い出せば、両親がお金を借りている相手に頭を下げている姿も、お年玉なんて最初から自分の資産として計算できなかったことだって子供心に焼き付いています。

 

両親の支えあってこその今ですが、私も一歩間違えば夢を諦めるしかなかったような状況だったとも言えるかもしれません。

 

こうした背景もあって『銀の匙』を読んでいて、借金のために高校を中退したそのキャラクターがもう1人の私のように思えてきたのです。まあ、私はそのキャラクターほどイケメンでもありませんし、モテもしませんでしたけどね!

 

……きっと、私以外の世の中の人にもいろいろな事情があったのでしょう。本作を読んでいると、そんな当たり前のことを改めて考えさせられました。でも、当たり前のことってつい見逃してしまうし、忘れてしまいます。そういった思いを改めて思い出させてくれるということで、やっぱり本作は良い作品だと思うのです。

 

最近、面白い漫画を読んでいないなあという人にぜひおすすめしたい作品です。ベストセラーを改めておすすめというのも野暮ったい気もしますが、まだ読んでいない方がいればぜひ。