雑貨屋の開業を考える人には『雑貨屋をつくりたい人の本』の一読をぜひおすすめしたい

私自身が新しく事務所を持つにあたって、少しだけ小売りの商品を抱えることにしました。ただ、私はとにかく社会経験がないので、「一般的な小売りをやっている方がどんな経営の仕方をされているのか」を全く知りません。

 

もちろん、周りの事業主さんに聞いて、個別の事情を知ることはできますが、さすがに「開業資金はいくらで始めましたか?」「小売り以外で収入はありますか?」なんてことは聞けません。

 

いくら社会経験がないとはいえ、さすがにそんな不躾な質問をするほど社会に疎いわけでもありません。ないない、きっとない。

 

そこで、こういった小売り店舗の裏事情を知るため、人に聞けないなら本に学ぼうと『雑貨屋をつくりたい人の本』という本を購入し、パラパラっと読んでみました。すると、自分の事業と比較しながら予想以上に面白い話を読むことができました。

 

「小売りで暮らせる」人は少ない

私自身、小売り“だけ”で暮らせるとは考えていませんでしたが、この本を読んで改めて「小売りをビジネスとして、きちんと収入源にできている人はほとんどいないんだ」ということを改めて実感させられました。

 

まず、この本ですが、「自宅の外に賃貸を借りて」「雑貨の小売りの収入源だけで」暮らしている人がほとんど出てきません

 

雑貨屋を営んでいるいろいろな人の事例が出てくるのですが、ほとんどが「自宅で」「旦那さんの収入もある共働きの家庭」の事例ばかりが出てきます。

 

この業界に夢があると思っていたわけではありませんが、雑誌に取り上げられるようなお店ですら「小売りだけで飯を食える人」が少ないのは少し残念でしたね。

 

加えて、雑貨屋は副業的にやっているだけで本業が別にある人も少なくなく、本書のデータによると12人中7人はほかの仕事も抱えているという状況。小売り業界の厳しさを改めて実感させられました。

 

グラフの色使いやフォントは可愛らしいのに、書いてあるデータは厳しいというギャップがすさまじかったです。

 

長続きしている人は?

とはいえ、そんな細々とした雑貨の小売業でも長続きしている人の事例はたくさん掲載されていました。

 

全体的に長続きしている方を見ると、ネット販売をしている方、ほかのクリエイターと組んでいる方、ライターとしてのイベントに雑貨を出店している方など、お店での販売以外のことにも精を出している方のよう。

 

こうしたお話を見ていると、「おしゃれで可愛い雑貨屋をやりたい」という理想はあっても、それだけで食っている人は少ないように感じられます。

 

専業でやっている事例もありましたが、そういった方は長年の雑貨業界での経験を経て独立した方や、夫婦共働きなおかげで収入がそれほどいらない人ぐらい。

 

小売業の経験がある人は自身の経験にもとづいて小売販売を成功させることもできますが、経験がない人は雑貨屋以外の収入源を持ったり、他の業種の人と組んだり、それほど収益のいらないモデルを考えていく場合が多いのだなと感じました。

 

まとめ

なにか参考になることがあればと思って読んだ本ですが、予想以上に実りがありました。まあ、厳しい現状を理解できたという意味でですが。

 

それにしても、雑貨業界は小規模なモデルが多いのか、収益目標も少なく開業資金も少ないコンパクトなモデルの経営をされる方が多いのですね。雑誌に載っている事例が極端なのかは分かりませんが、開業資金も100万円もかけない方が多かったように思います。

 

私なんて、小売専門でもないのにあっというまに2,300万の貯金が飛んでいったんですけど……。

 

このことから、雑貨と他の業界の仕入れに関しての一番の違いは、「同じ商品でも店舗の飾り用の商品に加えて、在庫を抱えて複数の商品を入荷する必要があるかどうか」だと感じました。

 

一点ものが評価されやすい小規模雑貨屋では必ずしも在庫を抱える必要が無く、そのぶん、仕入れ値も安く落ち着く場合が多いんですね。

 

自分の事業に参考になればと思って気軽に読み始めた本ですが、予想以上に真面目に雑貨経営のことについて書いてあって、いろいろと面白く読めた本でした。

 

雑貨屋経営に興味のある人はもちろん、他の業界の方でも読んでみると何か発見があるのではないでしょうか。