軍艦島に向かったら全力で吐きそうになった

どーも、ニートです。

 

長崎の有名な観光地と言えば、中華街や稲佐山などを挙げる方も多いと思いますが、コアなファンが未だに多く、いまだにDVDや書籍などで取り上げ続けられる観光地があります。

 

それが「軍艦島(端島)」です。

 

改めて解説するまでもありませんが、軍艦島は三菱重工が採炭のために買い取り、埋め立て化した採炭のための島であり、今では無人島となっている島です。

 

現在では軍艦島を現状のまま保存する手段がなく、いずれは朽ちていく島として現地では語り継がれています。世界遺産化の話も出ていますが、いずれにせよ近いうちに一般人は入島できなくなってしまうかもしれません。

 

朽ちる「軍艦島」 保存に課題

 

というわけで、さっそくニートも軍艦島へと向かいました。軍艦島へは何種類かのツアーがあり、長崎港と伊王島港のそれぞれから出発することができます。ニートは今回、観光がてらオリーブオイルなどで有名な伊王島港から出発しました。

 

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乗船したのはブラックダイヤモンドと呼ばれる、軍艦島上陸ツアーの中では3500円程度の最も安い船です。

 

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ほとんどの人は長崎港から乗ってくるため、伊王島発の便だと良い席はだいたい取られています。仕方ないですが、あまり外を眺められない内側の席へと着席です。

 

ただ、これまで大型客船以外に乗ったことが無かったので知らなかったのですが、ニートは船酔いするタチらしいことが分かりました。仲良くなったおばちゃんに「漁船よりマシよ~」なんて言われても、大客客船よりひどいのは変わりません。

 

青白い顔をしながら、軍艦島ツアーの途中にある「高島」へと上陸します。高島には軍艦島の模型が置いてあり、そこで軍艦島とはなんたるかのレクチャーを受けました。

 

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その話がとても面白く、内容は今でも鮮明に覚えています。曰く、軍艦島はどちらかというと外海の方にあるため、波の高さが時に11メートルを超えることもあったそうなのです。

 

そして、日本から外側を向いているエリアの方が強い波を受け、日本に向いている内側のエリアの方が弱い波を受けるのですが、その内側のエリアには住宅街ではなく炭鉱があったと言います。軍艦島が何のために建てられたかが分かる設計の仕方であると説明されていました。

 

一方で、軍艦島は福利厚生としては最高レベルで、当時の軍艦島は最新の技術を使って建てられており、島民たちもみな裕福だったのだとか。生活費、光熱費、住居費、教育費などは全て三菱持ちで、島民たちの支出は食費だけだったといいます。

 

他にも、映画館やビリヤード場などの娯楽施設にも恵まれており、映画館は当時長崎で最新の映画が入ってくるレベルの優遇のされ方であったとされています。

 

また、軍艦島は屋上緑化施設の先駆けでもあったそうです。ただ、これは地球温暖化などに配慮してではなく、『緑なき島』と題されるほど、緑の無かった島において、せめて子どもたちの情操教育のためにと稲などを施設の屋上で育てたのだと言います。

 

今では廃墟マニアが一度は行きたい島として語り継がれることの多い軍艦島ですが、文化的に見ても大変興味深い施設で、工業化の中で人々がどのように暮らしてきたのかをリアルに感じられる施設だということが分かりました。

 

とても興味深い説明を聞いた後、高島を出発し、今度は外海へと出て軍艦島本島へと向かいます。

 

ただ、正直この時ほど自分が船に弱いことを恨んだ日はありませんでした。軍艦島へと向かう途中で波は揺れ、船も揺れ、胃の中も揺らされ、口から胃液の酸味が漏れそうになり、あわや大惨事を迎えるところでした。

 

船の添乗員さんが「気分が悪い人は首に巻いているものを取って、ボタンを開けて涼しくして、ベルトを緩めてくださーい!」と大声で叫び始めます。「もし本当に体調が悪くなった人は言ってくださいねー!」と言うから、何をしてくれるのかと思いきやその手には黒い小さなビニール袋。

 

ああ、それだけにはお世話になるまいと必死にペットボトルの水を開け、口の中からナニカが漏れ出そうとするたびに水分を口に含ませ飲みこみます。「早く島に着いてくれないものか」と死にそうな顔で外を眺めていると「右奥に見えるのが軍艦島です!」という救いの声が。

 

「早く上陸してくれ」と願い続け、今まさに上陸用のロープが巻かれようとしたとき、非情なアナウンスが聞こえてきました。

 

「波の揺れが船体の限界を超えているため上陸ツアーを周遊ツアーへと変更いたします」

 

「えー!」という乗客の残念な声が聞こえてきます。ニートは残念というより絶望です。「休ませてくれないのか」と。「おいおい、船の限界を超える前にこっちが限界を迎えちゃうぞ」というアラームが頭の中に鳴ってきました。もちろん、船の限界と言われればそれまでです。ニートたちの安全のためですから仕方ありません。

 

それでも、写真にだけは収めねばと必死の覚悟で数枚だけを軍艦島に収めてきたのがこちら。

 

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帰りの船では、船の添乗員さんが軍艦島について解説をしていましたが、正直それどころではなく、内容はうろ覚え。

 

「皆さんが今見ていらっしゃる軍艦島が最新の軍艦島の姿です。明日には無くなっている可能性もあります。写真に収めるだけでなく、しっかりと記憶に焼き付けてあげてください」

 

とかなんとか感動的なセリフを仰っていたのですが、吐き気が荒波のようにニートを飲みこもうとしていたので、必死に口の中に上って来たものを飲みこんで、感傷に浸れませんでした。

 

いや、ほんとね。多分、ニートは軍艦島に向かうことは二度と無いから上陸したかったな……。

 

今後軍艦島へと向かう人にいくつかアドバイスをば。

 

1. 値段が安いツアーは船が小さいので、揺れがひどいです。船酔いしやすい人は高いツアー代を払ってでも大きな船に乗りましょう。子どもがいる人は、特に見ていられないほど可哀そうな事態になるので、大きな船に乗ることをお勧めします。

 

2. 飲み物は持って行った方が良いです。吐き気を多少抑えられます。

 

3. 体調は万全にしていきましょう。

 

4. デートにはお勧めしません。

 

以上です。軍艦島は今後朽ちていくだけと言われているので、本当に見れなくなってしまう前に皆様も人生のうちで一度ぐらい行かれることをお勧めします。

 

ちなみに、軍艦島はGoogle Street Viewでも疑似上陸することができます。しかも、立ち入り禁止エリアにまで“入場”できるのです。ホラーゲームSIREN2などの舞台になったこともあり、雰囲気のある土地なので興味のある方は探検してみてはいかがでしょうか。

廃墟賛歌 軍艦島オデッセイ?廿世紀未来島を歩く? [DVD]

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