昔の小説や漫画を読んでいると、「子どものころはデパートの洋食屋さんで食べる食事がごちそうだった」的な表現をよく見かけます。
今ではフードコートやらチェーン店やらでそんなこともないのかもしれませんが、田舎育ちの私の"ごちそう"にはそもそも「デパートで食事」なるものすらよくわかりませんでした。
子ども時代のごちそうと言えば、たまに行くジョイフルぐらいでしたしね。私の家のソウルフードです。
そんなジャンキー食品に育てられた私が大人になった今、せっかく名古屋という大都市にいるのだから、伝説の「デパートで食事」とやらを体験してやろうと、三越の『東洋軒』へと行ってきました。
あの高級デパートとして名高い三越のレストランということで、かなり高級なお店かと思いきや、意外とラフな雰囲気。ちょっとお高めの高級ファミレスなんて言ったら失礼でしょうか。ジョイフル基準で考えてしまって申し訳ありません。
そんな東洋軒の名物メニューは、名古屋に住んでいる人なら誰でもご存じ「ブラックカレー(1000円)」です。
「東の魯山人、西の半泥子」と呼ばれる陶芸家の半泥子が、昔「黒いカレーを食べることができないか」と尋ねたのが始まりだそう。……あ、ここまで全部ブラックカレーのウンチクに書いてあったことです。
半泥子なんて名前は初めて聞きました。無学ですいません。
まあ、良いんです。私も半泥子と同じように黒いカレーを食べたくてここに来たのですから、さっそく店員さんを呼んでブラックカレーをオーダーしました。
本当に真っ黒なカレー。玉ねぎや小麦粉をじっくりと炒めつつ、完成するまでに約1ヵ月がかかるカレーが始まりとのことですが、そこまでやったらスゴイというか腐りs……。
いらんことを言う前にいただきます。
まず感じるのは、この見た目からは意外や意外な果物のフルーティさ。塩気を感じるスパイシーなカレーというより、コクのある酸味や甘みのカレー。見た目の印象とは全く違う味なのでびっくりです。
けっこう美味い。辛いものが苦手な人にも大丈夫そうな味です。
ご飯の硬さも良い感じ。変にベタついていないので、カレーとよく合います。具材は時々出てくるお肉のスジやトロトロの玉ねぎぐらいでほとんどルーに溶け出ている様子。さすがの煮込み時間。
ただ、カレー好きとして不満な点をあげるなら、カレーのスパイシーさやフレッシュさに少し欠けるところでしょうか。誤解を恐れずに表現するなら、「かなり美味しいレトルトカレー」といった感じ。いや、美味いんですけどね。
ネガティブな表現に感じたかもしれませんが、これが1000円で食べられるなら全然文句はありません。あくまでただの一個人のカレー好きの感想ですので悪しからず。
本当に、値段を考えれば、かなりコストパフォーマンスは良いと思いますよ。さすが老舗の東洋軒だけあってサービスも良いので、下手なカレー屋に入るよりは後悔もしないと思います。機会があればぜひ。
いつか私も本店のほうへ伺ってみたいですね。
以下に、『東洋軒名古屋三越店』の情報を記載しておきます。