やっと視聴できた劇場版ラストで私のTRICKは締めくくられました
私が初めてTRICKを視聴したのが、高校生の時の第三シリーズがドラマで放送されていたときでした。ファンと言うには、だいぶ後発のほうですね。
高校の時から、あの鬼束ちひろさんのテーマソングと作品独特の雰囲気にハマってずっと視聴してきたシリーズで、過去作はレンタルして全部視聴しています。大学の時には映画館まで行って劇場版第三作を視聴しておりました。
怖さと笑い、不気味さを同時に味わえる感覚はトリック以来出会っておりません。
ただ、ギャグセンスも好きではあるのですが、私は特にシリーズ中でもギャグメインの作品より救いの無いオチで終わる話の方が大好きです。
ファーストシーズン第一話の母之泉の話は、第三シリーズから入った私にとってはとても印象深い話で、ほぼギャグが無くひたすら「本物の霊能力者はいるのか?」というテーマに沿って展開されていく不気味な展開と後味の悪さに惹かれました。
他の好きな話はセカンドシーズンの「失踪者を必ず見つけ出す男」、サードシーズンの「絶対死なない老人ホーム」の話でしょうか。うん、全部後味も気味も悪い作品ですね。トリックは卵の黄身の色が悪いだけではありません。
そして、トリックを彩るものと言えば、鬼束ちひろさんのテーマソング。どれも好きですが、「月光」の歌詞の素晴らしさに適う歌はそれほどないと思います。
I am GOD'S CHILD
この腐敗した世界に堕とされた
How do I live on such a field?
こんなもののために生まれたんじゃない
どんな体験を過ごせば、こんな歌詞が書けるものかといつも思います。この節だけで、苦しさ辛さが伝わってくるような感情の美しさがあります。私がいつも欲しいと渇望するものです。
それはともかく、何から何まで好きなこのトリックの最終ステージが映画化された2014年1月。私はまだ大学院にいました。修論真っ最中で当然、映画を見る余裕もありません。
それからあれよあれよと時間が過ぎて、つい先日、こちらの作品がAmazonのインスタントビデオに並んでいたのです。これは見るしかねえと早速ぽちっと購入。400円の安さがありがたい。
ネタバレしない程度に感想を言えば、なんと言うんでしょう。絶妙に物足りない。不気味さはある。ギャグもある。笑いが決してなかったわけではありませんし、最後のシーンにはグッとくるものもありました。でも、何かが足りないのです。
言うなれば、ファンディスクを見せられた感じ。もちろん最終ステージを映画化したのだから、ファン向けの作品になっていることは当然なのです。それでも最初視聴した時には、少し物足りなさを覚えました。
ただ、その後に考察を覗いてみると、「ああ、それはそういう意味だったのか」と強く納得。作品に対する印象が大きく変わりました。さりげなさすぎる伏線が幾重にも積み重ねられて、重要なメッセージを送っていたのです。
つまり、それは本作のテーマである「本物の霊能力者は存在するのか?」。この作品はそれに全力で応えていたのだと分かりました。すると、つまらなかったあのシーンも面白く見えてしまうのだから不思議です。単純に私の理解力不足の問題ですね、ええ。
やはり、ラストステージにふさわしい作品だと感じました。もし、まだ視聴していない方がいらっしゃったら、本当に細かい描写の一つ一つに意味のある作品ですので、ぜひ視聴してみて下さい。きっと、あなたの中でもトリックという1つのシリーズを終わらせるのに重要な作品になると思います。